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2007/12/26
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父親の気持ち




オメデトウ





夫探しのゲームを説明した時の彼の顔ったらなかった。

ポーカーフェィスを保てない程にあの彼が驚愕していた。

当人であるわが娘はというと本質では理解していてもひどく呑気だ。

所詮、”遊び”だとでも思っているのか。

現状はそんなところ──だった。



世の中、弱肉強食である。

仕掛けたらその倍、いやそれ以上の気力で守っていかなければあっというまに足をすくわれる。

昨日の敵も、今日の敵も、すぐには止めを刺さない。

じわじわ苦しみ、もがき、落ちてゆくのを遠巻きに気の毒そうに見ている。

そう、あくまでも気の毒そうに、──生贄を捧ぐ、我は救いたまえ──と願っているのだ。



私は非常に幸運である。

強運なのは生まれ故か。

とにかく私はこの地位と富を築き上げた。

それは私が生きている間は普遍ともいえる。

が、どうだろう。

私が死んでしまったら、娘は私の持つ秘密までをも相続してしまう。

そうなってしまったら世界はすぐさま変貌する。

弱肉強食──だ。

あの娘は相続そのものに未練はないだろう。

しかし、会社は”家族”で作り上げられている。

私の下で働く何万、何千もの”家族”はどうなるのだろうか。

人のためなら──愛するもののためならば、あの娘は戦う──戦える子だ。

戦う分、傷つくということさえ恐れず進むだろう。

私とあの娘に流れる血がそうさせてしまう。

故に、あの娘の純粋さは──諸刃の剣──だ。

それを止める事ができるのはきっと──





「会長、時間ですが──。」

秘書の声に意識が急速に回復する。

寝ていたわけではないのに、夢を見ていたかのような妙な気分だ。

窓の外を眺めると夕日がとても美しかった。

「”彼” を呼べ」

「かしこまりました。」

──5分も開かずにその”彼”はやってきた。





「時間がないのにすまんね。まぁ、掛けたまえ。」

一度席を立って彼を迎え入れ前の席に促した。

「失礼します。」

「──遅かったな。もう少し早かったら美しいショーが見れたのに。」

「夕日、ですか?」

すでにマンハッタンは夕闇に溶け、街灯が活気を放っている。

彼は相変わらず、だ。

「──君は相変わらずストレートだね。」

つい、思っていたことを口に出して言ってしまう。

これがビジネスでの会話だったら独特の嫌味ともとれてしまうだろう。

それをも了承するように彼は話し始めた。

「”陛下”も変わらず、”ショー”をご覧になるのがお好きとか。確かに”日の国”だけあってあちらで見る夕日はまた格別ですね。」

「ほう、情報通なのも相変わらずのようだね。」

「──”陛下”とは恐れ多くも”ご友人”ですから。”彼女”といればごく自然に入ってくる情報ですよ。」

「ふふん、相変わらず、可愛くない。」

「すいません。」

謝る言葉を述べながらも彼の言葉も顔も決して謝っていない。

以前と変わらず私とのテンポのいい会話を楽しんでいるようにも見える。

ほんとうに相変わらず──だ。

そこがまた──小憎たらしい──



「──あと10年、少なくとも10年は勘当ってとこだね。」

「・・・」

「あの娘もまだ18歳だしね。若気のいたりってことで世間を欺けたとしても、あと10年、私は

”許さない”つもりだから──」

「はい、承知しています。」

驚きもせず、顔色1つ変えず、彼は私に頭を下げた。

「──そういうところが本当に可愛くないね、君は。イジメがいがないよ。」

「はは・・・十分、気持ちが重いですよ、ハリー。」

以前と同じく親しみを持って彼が私を呼ぶ。

やはり彼との会話は心地よい。

「──忙しいところすまなかったね。」

「いえ。」

「”陛下”とフランス公爵の彼、あっ、そうそう、わが宿敵のカール君にもよろしく伝えてくれたまえ。」

「──承知しました。」

「気をつけて──よい旅を」

「──ありがとうございます。」

そう言って彼が出て行く背中を見守りながら、私はやっと”本題”を口にした。

「そうそう、これは極秘事項なんだが──勘当中の娘にも伝言を頼めるかい?」

「──なんでしょう。」

扉に向かっていた彼がこちらを向いて私を見据えている。

「結婚、おめでとう。幸せに、と。──頼めるかな?」

彼の顔が少し変わった。

明らかに驚いている顔だった。

あの日以来久々にみる彼の”動揺”だった。

「──承知しました。」

「──ああ、君は本当に可愛くない!そういう時は”ありがとうございます”って言って笑顔でも見せてくれればいいものを!」

「すいません。」

会話はさっきと同じ事を繰り返してはいたが彼の表情は華やかな笑みに包まれていた。

この男がわが愛しい娘をさらっていくというのに、私は完全に抵抗する事を放棄してただ見ているだけだ。

私がそう目論んで、結果、そうなったことだ。

果たして私のこの喜びはどういうものなのか。

結果への満足感か、それとも自然に湧き上がる感情なのか。

「──幸せを約束します」

華やかさを残したまま力強く放った言葉を聞いて私の感情は後者だと確信した。

私はまだ企業家としても、親としても、甘いのだろう。

「グッドラック!(幸運を)」

私の発したその言葉を聞いて彼は少し振り向いて頭を下げてから部屋を出て行った。

立つものに送る言葉を君に贈ったのはいうまでもない。

これからが本当の”はじまり”だということだ。

そう、ゲーム(お遊び)は終わったのだ。





「会長、時間ですが」

「──今行く。」

相変わらず、私の時間は忙しい。

それこそが幸せだと今、思う。

世の中は弱肉強食だ──

それであるから真剣な”生”は美しい。

またそれと隣り合せの”死”をも同じだ。

故に願わずにはいられない。

君たちに幸あれ、と──



 







Driven;Logic様 日常生活から30のお題より



こえー、立人花鹿の結婚前夜のハリーのぼやき(笑)です。

ハリーのイジワルさが好きだわぁ。

それに負けてない立人も。



今度はちゃんと立人と花鹿のお話を書いてみたいです。



お粗末さまでしたっ!



2007/12/26 







 





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