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2009/10/17
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エドウィン原作設定 (ちょっとだけ未来、お付き合いしてません。)




ずっとずっと昔から、その涙はオレの人生をとことん左右してきた──




泣き顔





「エドのバカっ!」

そう叫ぶや否やウィンリィは部屋から飛び出した。

後に残るのは沈黙のみ。

あーあ、またやっちまった。

そう、ため息を漏らす前に隣からため息が漏れた。

「兄さん・・・」

弟、アルはここでいつも言葉を止める。

"わかってるよね?" "今のは兄さんが悪いよ" "謝ってきなよ" "ウィンリィがかわいそうだよ"

その言葉の続きはすぐに思いつくだけでもこれだけあった。

敢えてそれを言わない弟・アルにオレは答えた。

「わーってるよ」

そう言ってウィンリが出て行った方へ足を向けた。

言葉も行動もいつも通り、成長してない自分が情けない──





最近、泣かせてばかりいる。

機械鎧を壊して──今回のは破壊と言うべきかもしれない──怒り泣き出すウィンリィ。

生身の体が包帯だらけなのを見て心配して泣いてくれたウィンリィ。

知り合いの能無し大佐が優秀な美人の部下にプロポーズをして婚約したという話をした時に祝福の涙を流したウィンリィ。

セントラルに来た時に通りかかった霊安室に知り合いの顔を見つけて哀悼の涙を流したウィンリィ。

いろんな理由があるにせよ最近、笑ったウィンリィをあまりみない。泣き顔にはこんなに関わっているのに──





ウィンリィはいつものそこにいた。

その顔には涙のあと。

ウィンリィはオレの存在に気付くと涙のあとをぬぐい、きりっと怒ってる顔に戻した。

「遅い!」

怒ってる理由はそれかよ、とオレは小さく笑った。

いつものように悪かったと謝り、いつものように許してもらって、いつものように夕焼け見ながら家への道を歩いていた。

その時ウィンリィがぽつんと言った。

「最近、エドの困った顔しか見てないな・・・私が怒ったり泣いたりするからだね。」

足が止まった。

「ウィンリィ・・・」

その続きが言葉にならなかった。

ウィンリが怒ったり泣いたりするのは俺が困らせてるからだと思ってた事が逆に伝わってる。

反省しなければならないのは自分なのにウィンリィが反省してる。

ちがう、ちがうのに。

それでもアルみたいに素直にオレは謝れなくて──

「オマエが笑わないからだろっ、バーカ!」

と、なんとも幼稚な言葉しか出てこない。

「バーカって何よ。エドが無茶ばかりするんじゃない!何をどうやって笑うのよ!!」

「いいから!・・・オマエは笑ってたらいいんだよ、笑っとけよ。」

「・・・じゃあ、エドが笑わせてくれればいいじゃない!エドが、エドが・・・」

ウィンリィはそこで言葉を止めて泣き出した。そして一言、

「エドのバカっ!」

あーあ、また振り出しに戻ってしまった。

オレはホントに自分で自分を呪いたい、といってもこれ以上呪われた体になるのはゴメンだけど。

もう、どうしたらいいかわからない。ウィンリィとの関係ってこんなに難しかったっけ?

途方にくれながら夕焼けが作るオレとウィンリィの影を見ていた。

ちょっと前までは背の低かったオレもウィンリィの作ってくれた軽量化機械鎧のおかげなのか、成長期に突入したのか、身長が少し伸びてウィンリィを見下げるようになっている。

伸びた影が「オマエは体しか成長してない」と嘲笑っているかのように思えた。

「ウィンリィが笑ってくれたらオレも笑ってられるから・・・」

そういう気持ちをなんて伝えたらいいのかもどかしくてたまらない。

こんな風にしか本音をいえないのは情けないけどそれがオレの心からの願いだ。

しばらく沈黙に包まれた。

「・・・クスッ、バカエド!」

「なっ、てめえ・・・!」

オレの精一杯を笑ったことに文句を言ってやろうとウィンリィの顔を見るとそこには笑顔が咲いていた。

涙も乾ききらないその顔はオレの心の底にそっとしまった何かをゆっくり溶かそうとしていた。

その何かはきっと今は触れてはいけないものだと、溶ける前に無意識に押し戻した。

「フン。ヘンな顔!」

そう言ってオレは軽く駆け出した。

「なっ、なっ、なー!エドー!待ちなさいー!なんなのよー!エドのせいでしょー!!!コラー待てー!」

ウィンリィがオレを追いかけてきた。

怒って、泣いて、笑顔になって、また怒って・・・

ウィンリィには笑顔が似合ってて、それでもこんな風に泣かしてしまうんだろうな。

そして成長しないのはきっとオレだけなのかもしれない。

それでもいつか、心の底の何かを溶かすその日が来たら──

「いつかそのヘンな顔ごと、責任とってやるよ。」

ウィンリィに聞こえない小さな声で誓ったその言葉は夕焼けの闇に密かに消えていった。



 






泣き顔=「今度は嬉し泣きさせてやるっ!」っていう名言を

連想して書き上げた作品です。

私の作品の中でもエドはどこまでいってもヘタレです(笑)

でもちょっと素直でしょ?

実は原作・・・途中で読み止めたので今どうなってるのか全く知りません。

妹に聞いたら面白くなってきたとか・・・

実家に帰った時にまとめ読みしようと思います♪



お粗末様でしたっ



2009/10/17

 



Theme:二次創作 Genre:小説・文学│ Parent category:■二 次 創 作 Category:エドウィンSSコメント:0│ トラックバック :--
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棗蜜柑SS(中学生・お付き合い設定)



満月が明るすぎて、眠れない──





安らげる場所







ベットから起きてカーテンを開けるとそこには満月が煌々と輝いていた。

静寂の中、見上げる満月は胸に沁みる。

じぃちゃんを思い出す──



コツン

窓ガラスに何かが当たる音でふと我に返った。

コツン

また石が当たる。石が飛んできた先をみれば──

棗がいた。窓と同じぐらいの高さの木の枝の上に。

『ま・ど・を・あ・け・ろ・よ』

棗の口がそう動いた。

あわてて窓を開けるとジャンプして棗が部屋の中へ着地する。

棗はウチを振り返りもせずそのままベットに潜り込んだ。

「ど、どうしたん棗・・・」

返事もなく、微塵も動く事がない。

心配になってベットサイドへ近づくと棗の手が伸びて、ウチをベットへと引きずり込んだ。

「なっ、どっ・・・」

一瞬のことで言葉が詰まる。

ベットの上で棗に組み敷かれる。

心臓は急に高鳴り始めた。

棗の顔が思いのほか近くこちらを見つめている。

その顔は月明かりで青白く、端正な顔が際立っていた。

キスされる!!!

そう思って、きゅっと目を瞑ると棗はウチの腹部に頭を軽く乗せた。

「・・・眠れねぇ。」

棗はそう低く、落ち着いた声で呟いた。

「・・・何かあったん?」

「別に・・・」

そう言いながらも棗の声は小さかった。

また、任務だったんだろうか?それともまた、例の発作が──

何があっても決して話すことはない棗だから無理に聞き出す事もできない。

「・・・満月が・・・明るすぎる・・・」

それだけ言って棗はウチをぎゅっと抱きしめた。

ウチを抱きしめたその手は微かに震えていた。

そっと棗の頭に手を当ててなでてみる。

以外と柔らかい髪は本当に"黒猫"のようだった。

棗は抵抗する事もなく、しばらくするとそのまま静かに寝息をたて始めた。

覗き見ると寝顔の棗は子供の様に可愛かった。

「棗・・・おやすみ。」

そう、棗に囁いたのだが結果、自分にもとうとう睡魔が訪れた。

あれだけ眠る事ができなかったのに──

棗の温もりに包まれながらそっと瞼を閉じた。



 




またもや中学生設定。

しかもお付き合い設定です。

普段は色々オトコマエな棗くんですが、

蜜柑ちゃんと二人の時はこんな風に甘える事もしてほしい!

棗くんは小さい頃、馨ママンが亡くなったからね、

あんまり甘えてこなかっただろうし、だからこそ

蜜柑ちゃんの前では弱みを見せたりしてほしいんだけど、

まだ若いもんね、粋がりたい時期だろうし・・・

蜜柑ちゃんはそういうところは以外と大人で、

黙って分かってあげてたりしてほしい!!

嗚呼、妄想って楽しい!

中学生設定バンザイ!!

早く、原作でも中学生になってくれたらなー。

その前に終わりそうだけど(笑)



2009/07/26

 



Theme:二次創作 Genre:小説・文学│ Parent category:■二 次 創 作 Category:なつみかんSSコメント:0│ トラックバック :--
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結婚の女神の愛と葛藤の日々






しあわせの風景







ああ、またか──ため息を一つ、零した。

侍女が言うには今度は人間の少女らしい。

長い黒髪が綺麗だとか、青い瞳は海のようだとか、散々褒めておいて最後に「それでもヘラ様には敵いますまい!」と憤るところがなんとも可笑しい。

彼の浮気の相手の情報なんて正直どうでもいいし、また面倒くさい事になったと思うだけだった。

いい加減、うんざりする。

ため息を一つ零すと、侍女が「ヘラ様の嘆き、悲しみは最もです!さぁ、制裁致しましょう!」と益々熱を帯びて言うのだった。

「では仕度をするわ──」

そう言って私は支度部屋へと向かった。

疲れた。

私は少し考えをやめて眠りたかった。

支度部屋には入らず寝室へ向かい寝台に体を乗せるとヒュプノス(眠り)がやってきてフゥーと軽く息を吹いた──













「ヘラ!ヘラ!良かった無事だったのね!」

私たち兄妹が父・クロノスのお腹から出てきたとき、母・レアは私を抱きしめた。

何度も私の名前を呼び、一緒に助かった他の兄妹を見向きもせずずっと私を抱きしめていた。

自覚していた。母にとって私以外の兄妹は興味がないことを。

それは私の容姿によるものであることを。

私と母・レアは髪の色以外は本当に瓜二つだったのだから──



それからしばらくして兄妹を救い出した末の弟、ゼウスが全世界の王になることが決まった。

少し揉めるには揉めたが、母レアの意見には誰も逆らえない。

それ以上にゼウスにカリスマ性があったのも事実だった。

その頃私は"彼"について行こうと密かに心に決めていた。

たとえ"彼"が私に気がなくても私は彼の事が好きだから傍にいるだけでいいと思っていた。

いよいよ、彼が冥府に旅立つ日、私は彼に着いて行きたいと告白した。

"彼・ハデス"はだまったまま、悲しそうな微笑みを浮かべ首を横に振った。

「たまには遊びに来るよ。ゼウスはいい顔しないだろうけどね。元気でいるんだよ、ヘラ。」

私は静かに否定され、彼を見送ることしかできなかった。

悲しみに、私は泣き続けた。

そんな私に母は告げた。

「ヘラ、私の大好きなヘラ。さぁ、私のお告げを、あなたの運命を聞きなさい──」

伝えられたそれはまるで他人の人生のようで、私は何も考えず、それを受け入れた。



ゼウスとの祝宴は盛大なものになった。

神々は食べて飲み、歌い踊る、とにかくそれは盛大だった。

ゼウスとはそれまであまり話したことはなかった。

それでも皆が口々に絶賛するように彼には何か特別なものがあることはわかった。

ただそれが恋に発展する理由になるにはならなかった。

祝宴中、ゼウスは常に私に優しく微笑みかけて私の中に眠る女心を刺激する言葉を幾つも囁いた。

「姉さん──ヘラと契りを交わせて本当に嬉しいよ!」

世界の王のその微笑みは実に美しく、あどけなかった。

私は何もかも忘れられると思った。



ゼウスとの生活はそれは華やかで楽しくて女として皆が羨むものだった。

全能神の妻として私は「契り・女としての生き方・子を成す事」を司事とすることになった。

女としてこれ以上栄誉はないと思う。

ゼウスとの間に子も成し、慎ましい幸せを感じていた。

このまま、私はこの道を歩いていけば何もかもうまくいく──そう思っていた時に侍女たちの噂話を耳にした。

「最近、冥府の王が大地によくお出かけになってるらしいのよ。いよいよ冥府の王は大地の女神を迎えられるのかしら。そうなるとこの世はっどうなってしまうのかしらね。」

心臓に稲妻が落ちたのかと思ったぐらい衝撃は図りないものだった。

自分の気持ちを嘘で塗り固めた何かが瞬間にして剥がれ、流出することを止めることが出来なかった。



彼──冥府の王は昔から輝ける妹・デメテルの事が好きだったのは知っていた。

だけど、冥府に就いてからは二人の間に恋や愛が芽生える事は許されない事になった。

だから、私は安心してぬるま湯のような幸せに浸っていたのに・・・

彼は今更、何のために大地を訪ねるのだろう。

その理由は十分にわかっていたけれど、それ以上考える事は苦渋だった。



その頃から、ゼウスの様子が一変した。

私に愛の言葉を吹きかける事をしなくなったのだ。

正直、ほっとした。

自分の気持ちに気付いて尚、私はゼウスを受け入れることはできなくなってしまった。

そしてゼウスは浮気をするようになった。

もう、どうでもよかった。



「ヘラ!これはどういうことです!」

母が怒号した。

「ヘラ!夫の浮気は災いの元です。あなたは悔しくないのですか?女として、母として、プライドはないのですか?」

空には暗雲が立ち込め、地上は嵐が吹き荒れた。

それでも私は何とも思わなかった。

「ヘラ、とにかく、あなたの役目を果たしなさい!さもないと・・・いいですね!」

頷くしかなかった。

私はすぐにゼウスを探し出し、迎えに行った。彼は人間の女性と最中だった。

事が終わるのを待って『帰りましょうか』と言うとゼウスは無言のまま蒼ざめた顔をさせた。

そんな事が何度も続いた。無言で帰る私達を見て皆が「ゼウス様はヘラ様に浮気を見つけられて怒られておる、全知全能神形無しじゃ・・・ヘラ様の嫉妬はすごいのぉ」と噂していた。たとえ事実と反していても、そう見せる事が重要だった。



そうして向かえたのがあの日だった。

その頃では浮気してるゼウスを自ら探さなくても私を気遣って色んな人が情報を伝えてくれていた。

「ヘラ様~。ゼウス様ったら悪い癖がまた・・・。一緒にお供しますわ・・・。」

侍女と一緒にその浮気現場へと向かった。

そして、私は知ったのだ、ゼウスがデメテルと寝たことを。

私はこれほど気分をよくしたことはなかった。

ゼウスがデメテルを寝取った!しかもお子まで宿しているのをしっかりと感じる。

もうこれで彼の、冥府の王がデメテルを選ぶことも選ばれることもできなくなったのだ。

笑い出したい気分だった。

ゼウスを連れて帰ろうと寝屋に行くとゼウスはとっくに身支度を済ませていたがデメテルはシーツに包まったまま私を見て即座に体制を立てた。

「ヘラお姉さま・・・ごめんなさい・・・私、私・・・」

「済んだことよ・・・もういいわ・・・」

そう優しく言うとデメテルはポトポトと涙を零した。

「ゆっくり休みなさい・・・あなたにはお子がいるのだから・・・。」

瞬間、デメテルは顔を上げ絶望を知った。

「じゃあ、帰るわ・・・」

ゼウスを促して宮殿の外へ出た。

私はひどい女かもしれない、デメテルの、妹の不幸を喜んでいる。

表面では寝取られた悲しい妻を演じて・・・

それでも溢れ出る喜びは大きく、つい顔に笑みを浮かべた。

その時、ゼウスが言った一言ですぐにその笑みは凍りついた。

「・・・これでよかった?オレは役にたてた?」

一瞬何を言ってるのか分からなかった。

そして、ゼウスの笑みをみて確信した。

ゼウスは私のこの恋を知っている。

知っていて、デメテルを・・・

言葉が出なかった。

ゼウスはすこし切なげな顔をして私を通り過ぎそのまま行った。

私は動けなかった。





私の成就しなかった恋。

私の夫になったゼウス。

私が好きだった人。

私が羨ましく思う彼女。

そして、新しい命。

モイライ(運命)ははじめからここにたどり着くことを知っていたのだろうか。

私には答えが分からなかった。

















眠りから醒めるとそこにゼウスがいた。

その顔はやっぱり少し切なげだった。

「迎えに来てくれるのが遅いから・・・オレが着ちゃったよ・・・」

そう言って私の髪を優しく手で梳いた。

瞬間、涙が溢れ出した。

涙と一緒に口から嗚咽を零した。

とっくにわかっていたことなのに。

この人は、私を愛してくれている事を。

結婚するあの日からこの人は私の事を──

ゼウスは私を胸に収め、私はその中で子供の様に泣いた。

あの日も、あの日も、あの日も、

どの日も戻る事はない、時間は進んでいるのに、私は前に進む事を拒み続けていた。

それでいて自分は安全なところで不幸だと思い込んでいた。

私はこんなに愛されているのに。

彼は今、幸せだろうか。

彼女は今、幸せだろうか。

ゼウスと私は、本当の幸せを見つけられるのだろうか。

「ゼウス、もう、もう浮気しないで。私、ちゃんとあなたのこと見るから。ちゃんと傍にいるから・・・」

泣きながら見上げるとゼウスはその切ない顔を優しい微笑みに変えた。

「うん、ヘラ。君がそう言うならオレは他の女なんて見ないでずっと一緒にいるよ。」

瞬間、私の彼への気持ちが蒸発するかのように優しく消えた。

そして心の中にゼウスの微笑みが残った。

私は初めて、ゼウスが好きだと思った。

世界は一瞬にして変わってしまった。







そして過去のため息の数と同じぐらい甘い吐息を出した頃、彼女の新しい命が大地に春を告げた。





 






私、個人的にギリシア神話のヘラさん、大好きなんです。

嫉妬しちゃうところなんてめっちゃかわいいじゃないですかっ。

ってゼウスが浮気しすぎなんだと思うんです。

だからヘラさんが怒るのはあたりまえだ!!!って叫びたい(笑)

ギリシア神話第一弾はヘラさんでした~ww



2009/10/10

 



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恋愛と友情の間で悩む美少年


好きだからこそ、泣かせてしまう。

好きだからこそ、嘘をつく。

好きだからこそ、さよならしないと。

好きだからこそ──







パラドクスの憂鬱







自宅から15分ほど歩くと、その有名な公園はある。

そこから望む景色は港町を一望でき、昼夜問わず観光客や恋人たちで埋め尽くされる。

が、この日は珍しく人も少なくてオレはお気に入りのポジションのあるベンチに腰をかけて夕闇のベイブリッジを眺めていた。



あいつは──マリナは元気でいるだろうか。

元気で前向きでいつも笑ってる印象が強いけど、人一倍怖がりで泣き虫なマリナはシャルルと一緒に窮地に立っている。

シャルルと一緒にいるのだから何があっても安心だと思うけれど、それでも不安は尽きない。

やはりあの時、マリナとシャルルを一緒に行かせたのは間違いだったのか──

不安と後悔が押し寄せる中、親友への信頼、マリナへの愛情、いろんな感情がぐるぐる自分を巡り、まるで出口のない迷路のようだった。

またオレは、サラエのようになってしまうんだろうか──

自分からマリナを手放したくせに、人間の感情とは複雑で所詮18になったばかりの若輩者には解決できない問題のように思えた。



かっこつけた訳じゃなく、好きだからこそ別れなければと思った。

あのまま一緒に日本に帰ってきても、マリナのことだからシャルルの事で気を揉んでしまうだろう。

それじゃ、オレもマリナも決して幸せとは言い切れない。

自分で行動して、確かめ合って、納得する事が何よりも重要だって事をマリナは知っているから。

そこを乗り越える事で掴む幸せが本当の幸せだと知っているから。

好きだからこそ、別れたんだ──

気持ちは一巡してまた考えが元に戻った。





ふと気付いたら夕闇が完全なる闇に溶けていた。

時計を見ると20時になっていた。

明日はガイがイギリスからやってくる。

イギリス貴族へと変貌を遂げた彼だが、育った環境が自然だった事もあり人の感情の起伏には敏感だ。

彼が来るまでにはいつもの自分に戻らないと──と思うのだが、果たしてマリナとの話が出たとき、俺はポーカーフェイスを崩さないでいられるだろうか?



とにかく、歩かなければ、自分の人生を──

目の前に広がる横浜の夜景はキラキラ瞬き、まるで宝石のようだった。

手で掬うと今にでも掴めそうなその夜景に俺は背を向けた。







  



マニアックな二次ですいませんっ。

昔はまってたコ/バ/ル/ト文庫、藤/本/ひ/と/み先生のマンガ家マ/リ/ナシリーズより、

主人公のマリナの思い人(両思い)和矢くんの「愛/は/甘/美/な/パ/ラ/ド/ク/ス」の中での妄想独白です。



このマ/リ/ナシリーズを少しご説明すると、

三流漫画家のマリナが契約してる出版社から三流ゆえに無茶振りされる企画に一流になる野望をもって、

取材を兼ねて友人を訪ねると起ってしまう事件(ほとんどが殺人事件)を解決していくというお話。

解決に多少なりとも時間がかかってしまうため、企画はポシャッて結局三流のまんまっていうオチつき。

何よりもステキなのがマリナの友人たちが美少年ぞろいってこと。

男装の麗人、薫。フランス人とのハーフ、和矢(この二次SSの主人公です)。

IQ200超えの天才、シャルル。甲府の若き名士、美女丸 などなど。

圧倒的にファンの多いシャルルですが、私は和矢のことがめちゃくちゃ好きでした~。

で、今回の話の背景ですが、シャルルのお家騒動に巻き込まれたシャルルの親友和矢とマリナ。

シャルルは生まれて初めて女性に恋をするんですが、その相手がマリナなんですね。

でも和矢とマリナは両思いなんです。

が、揺るがないと思っていた地位から引き摺り下ろされそうな戦いに挑むシャルルに和矢はマリナと

一緒に行けと言うんです。和矢に遠慮してマリナを手に入れたくても入れられないシャルルと和矢は友情を

一度壊すケンカをして、勝利したシャルルにマリナがついていくことに。

シャルルと共にマリナはフランスに残り、和矢は家のある横浜へ一人戻ってくるわけです。

で、この話に繋がります。

パラドクスとは”逆説”という意味らしいです。

男装の麗人・薫の兄、巽が語る切ない話が印象的で、この時点では和矢はパラドクスという言葉を

知っていたかどうかは不明ですが、それでも本作品のパラドクスは主人公マリナ・行動を共にする

シャルル、それ以外のみんなにも当てはまることなんだと思って創作しました。

マリナシリーズを知らない人、面白いから是非読んでみて!

と、言いたいところですが、絶版作品ですので入手困難なんですよー。

図書館とかには置いてあるところもあるようですので興味のある方は是非どうぞ。

コ/バ/ル/ト文庫と侮るなかれ、博識になれるような内容になっているし、意外と面白いですよ~。

語ってたら作品よりも長くなったな~(笑)



お付き合いくださってありがとうございました(笑)





2009/10/4(拍手SS)





 



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飯ビーSS(ブウ編終了・半年後です。)





「パパより強い男となら付き合ってもいいかな」

──そんな風に思ってた頃が、懐かしい──






きまぐれ天使





地球にとっても私にとっても晴天の霹靂だったあの天下一武道会から半年がたった。

私は今、悟飯くんと一緒に正義のヒーロー&ヒロインとして大活躍。

至って"平和"な毎日を送っている。

だけど私の心は嵐がふきあれている──



自覚したのは彼の家に訪ね、空を飛ぶ修行を重ねた日々。

いつもの長袖じゃわからなかったけど胴着に身を包んだ悟飯くんの体は父と同じように長年にかけて鍛え抜かれた体だった。

私は決して筋肉フェチとかじゃないけれど、悟飯くんの動きは無駄がなくしなやかで男の人の体を綺麗だと思ったのは初めてだった。

強くて、綺麗で、優しい──

悟飯くんを意識して、そして思った。ああ、これは恋なのかもしれない──

彼が金色の戦士で、そして父以上の強さをもっていて──私の彼にする条件に全てぴったり当てはまるじゃない!と意気揚々。

ところがそこで初めて重要な事に気付いたのだった。

この恋の行方は"悟飯くん次第"だってことに──



いつも選ぶ立場だったはずなのに気がつけば選ばれる立場になっていた。

そんなこと、今の今まで、気付かなかった。

選ばれる側として私は何か突出したものがあるだろうか?

料理も洗濯も掃除も、女らしいことはやってこなかった。

態度も行動も、どう考えても男勝りだ。

自分が男だったら──きっと自分みたいな男勝りな捻くれ物、選ばないに違いない──









「ビーデルさん・・・その・・・あの・・・ぼっ僕とお付き合いしてくれませんか・・・?」

夢──夢なんだろうか。足元がもつれた。



事件を片付けて二人で帰るときはいつも悟飯くんが家の前まで送ってくれる。

私以上に強い地球人なんてきっとそれは"サイヤ人の仲間"だけだろうに「夜道は危ないから・・・」といって"空"を飛んで一緒に帰ってくるのだ。

そして家の前で別れの言葉を告げるのがお決まりだったんだけど──

私は夢でも見ているのだろうか、悟飯くんが私とお付き合いだなんて!

それでも私は髪の毛を切ったときのことを思い出し──期待しすぎないように勘違いしそうな事を聞いてみた。

「おっ、お付き合いって・・・どっか行くのに付き合ってほしいって事?」

「ちっ、ちがいますよ~。そっ、その・・・恋人同士に・・・って・・・。僕、ビーデルさんが好きです。ぼっ、僕じゃだめですか?」

やっぱり夢なんだろうか?

悟飯くんが付き合って欲しいって言った。恋人同士にって言った。

夢に違いない。疑心暗鬼な私はせめて夢なら、いい夢にしようと素直に頷いた。

「わっ、私でよかったら・・・」

次の瞬間、悟飯くんが叫んだ。

「ひっひゃっほう!!」

悟飯くんはそう言って夜空高くジャンプした。

びっくりした。

着地すると悟飯くんは極上の笑みでもってこう言った。

「こっ、断られたらどうしようかと思いましたよ~。めちゃくちゃ嬉しいです!」

「悟飯くん、私もめちゃくちゃ嬉しい!だって悟飯くんのこと大好きなんだもん!」

悟飯くんに飛びつくと悟飯くんの逞しい胸板をリアルに感じた。

悟飯くんも私に手をまわし抱きしめてくれた。

これは、このリアルさは──夢じゃない!夢じゃないんだ!

私、悟飯くんと恋人同士になれるんだわ!

でも、すぐに不安が訪れた。

なんで私を選んでくれたんだろう──

私なんてぜんぜんかわいくないのに──

顔をあげて悟飯くんを見上げた。

悟飯くんは不安そうな私の顔を見て彼自身も不安な顔をした。

「悟飯くん・・・私のどんなところがその・・・好きなの?」

悟飯くんは私の質問に即に答えた。

「ビーデルさんは──僕の天使なんだよ。」

そう言って悟飯くんはにこっと笑った。

天使っていうなら悟飯くんこそ──

「笑ったり、泣いたり、怒ったり・・・いろんなビーデルさんが好きなんだ。ちょっと気が強いけどでも、優しくて温かいから・・・」

自分で聞いておいてなんだけど凄く照れくさくて──

「気が強いは余計よっ」

と言って彼の胸板を数回叩いた。

「そう、そういうところ・・・きまぐれな天使みたいなところが・・・本当にかわいいんだよ。」

照れもせずまるでプレイボーイみたいな台詞を吐いた。

でも悟飯くんだから、マジメに言ってるんだろう。それが素直に嬉しかった。

「サタンさんが心配するといけないから・・・」

そう言って悟飯くんは少しかがむと私のおでこにキスをした。

「続きは・・・またねっ」

さっきまでの爽やかな笑顔じゃない何かを企んでいるかのような笑顔を残し悟飯くんは空へ消えた。

続きって・・・続きってなんなのー!



その帰り方にしたって、きっと天使は悟飯くんのほうだ。

私を救ってくれたのもこんな気持ちにさせてくれたのも。

続き・・・はちょっとドキドキするけど、それごと含めて早く悟飯くんに会いたいなって思った。



「要するに、自分次第ってことなのかなぁ。」



悟飯くんの消えた空には星がキラキラときらめきだしていた。





 




飯ビー、うきうきして書きました~。

意地っ張りなビーデル嬢と天然だけどオトコな悟飯くんww

このペアの話を書くといつも胸がキュンとしてしまいます~ww

Zの時点ではもしこの二人が結婚したらかかあ天下になるのかなーって思ってたけど、

以外や以外、GTではちゃんと悟飯くんをたててたもんね~。

あー、本気でこの二人が好きだわ~ww



お粗末様でしたっ



2009/10/3

 



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情報




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14 春の5音
21 動詞編
25 オリュンポス12神より
26 ことわざ編
27 恋愛ダイアリー
28 恋愛 出会いから別れまで…
29 浪速言葉編
30 クラシック発想記号より
31 クラシック楽曲形式などより
32 aiko の曲
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34 関ジャニ∞ の曲
35 徳永英明 の曲
36 ZARD の曲
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38 Chara の曲
39 松田聖子 の曲
40 矢沢永吉 の曲
41 レミオロメン の曲
42 Mr.Children の曲
43 Perfume の曲
44 工藤静香 の曲
45 Kinki Kids の曲
46 宇多田ヒカル の曲
47 古内東子 の曲
48 サザンオールスターズ の曲
49 CHAGE&ASKA の曲
50 モーニング娘。 の曲
51 TM NETWORK の曲
52 大塚愛 の曲
53 ウルフルズ の曲
54 GARNET CROW の曲
55 B’z の曲
56 森高千里 の曲
57 Every Little Thing    の曲
58 山崎まさよし の曲
59 小松未歩 の曲
60  の曲
61 岡本真夜 の曲
62 相川七瀬 の曲
63 ポルノグラフィティ の曲
64 布袋寅泰 の曲
65 BUMP OF CHICKEN    の曲
66 ゆず の曲
67 川嶋あい の曲
68 UA の曲
69 NEWS の曲
70 山本リンダ の曲
71 椎名林檎 の曲
72 松浦亜弥 の曲
73 アンジェラ・アキ の曲
74 CHEMISTRY の曲
75 JUDY AND MARY    の曲
76 L’Arc~en~Ciel の曲
77 MY LITTLE LOVER    の曲
78 広瀬香美 の曲
79 平井堅 の曲
80 orange pekoe の曲
81 MISIA の曲
82 元ちとせ の曲
83 スキマスイッチ の曲
84 桑田佳祐 の曲
85 中森明菜 の曲
86 絢香 の曲
87 光GENJI の曲
88 岸谷香 の曲
89 V6 の曲
90 一青窈 の曲
91 山下久美子 の曲
92 BEGIN の曲
93 ドリームズ・カム・トゥルー の曲
94 槇原敬之 の曲
95 氣志團 の曲
96 大黒摩季 の曲
97 いきものがかり の曲
98 ORANGE RANGE の曲
99 SMAP の曲
100 RCサクセション の曲
101 中島美嘉 の曲
102 スガシカオ の曲
103 ケツメイシ の曲
104 福山雅治 の曲
105 プリンセスプリンセス の曲
106 小沢健二 の曲
107 YUKI の曲
108 矢井田瞳 の曲
109 モンゴル800 の曲
110 中川翔子 の曲
111 竹内まりや の曲
112 柴咲コウ の曲
113 米米CLUB の曲
114 Crystal kay の曲
115 原由子 の曲
116 中山美穂 の曲
117 PUFFY の曲
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119 BOΦWY の曲
120 三枝夕夏 IN db の曲
121 四字熟語・ダーク編
122 四字熟語・ノーマル編
123 類語編
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127 漢字一文字・片仮名由来
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148 
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